光線療法ってニャンだ?

◆光線療法とは
太陽光に含まれる近赤外線、可視光線、近紫外線と同様の人工光線を用いて、病気や怪我の治療、健康維持・増進などを図る物理療法のひとつです。

◆光線療法の起源
太古の昔から太陽は『生命の光である』と崇められていました。紀元前1350年頃、エジプトのアクナトン王が太陽神アテンを礼拝する姿とその家族と共に日光浴する姿が描かれた石板が発見されています。王はその頃すでに太陽が宇宙(太陽系)の中心であることを理解していたとされています。また、古代ギリシャ人が太陽光を治療に応用したと思われる遺跡も発見されています。ギリシャに生まれ、後に医聖と呼ばれたヒポクラテスこそ、太陽光線で治療した最初の人だそうです。

◆人工光線治療器による近代光線療法の始まり
19世期末にデンマークの内科医、ニールス・R・フィンゼンがカーボンアーク灯を発明し、皮膚結核の一種の尋常性狼瘡の治療に成功しました。その功績により1903年、ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。1908年、東京帝国大学(現東京大学)皮膚科主任教授の土肥慶造が、留学先のヨーロッパから持ち帰った光線治療器フィンゼン・ライン灯を日本で初めて皮膚科の治療に用いました。1926年には、慶應義塾大学内科学助教授の正木俊二医師が、日本初の日光療法専門施設を開設して結核の治療に成果をあげました。しかし、その後の日本日本における光線療法では、紫外線(殺菌効果、ビタミンD3産生作用)及び赤外線(温熱効果)に関してのみ医学的な関心が注がれ、可視線を含めた総合的な光線の効果に関する研究はなおざりにされました。1927年になり、後の光線研究所初代所長の黒田保次郎により可視線と近赤外線を含めた、太陽光に近似した可視総合光線の研究が始まり、今日の光線療法の基礎が構築されました。

◆光線療法の治療器とカーボン
光線治療器の電極に2本のカーボンを差し込み、先端を接触させてから少し離して電気を流すと、アーク放電が起きて約3000度の温度で燃えてカーボンの先端で発光します。これにより太陽光線に近似した可視総合光線と温熱が得られます。光線療法は光線治療器を複数台使用して、太陽光に近似した可視総合光線と輻射熱を患者さんの状態に応じて身体各部の素肌に照射して、様々な症状の回復・改善・軽減及び健康維持を図る療法です。治療用カーボンは代表的なものは32種類あり、芯に含まれる元素により発光色や熱量が異なります。患者さんの状態により使用カーボンを選びます。

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