開業して3ヶ月を過ぎる頃、これだけは言ってはだめ!というバクダン言葉があります。
それは「だって、治っちゃうんですもん」
これを口にした治療家は、その6ヶ月後には閉院、もしくは
院を開いていても顧客はおられない開店休業状態になっていることがほとんどです。
なぜでしょう?その言葉が言い分けになっていることに、この人は気づかないからです。
来られた方に、磨いてきた技術で誠心誠意施術をして
お悩みの不調をできる限りの技を駆使して改善して、送り出したのに。
不具合は無い様子で、「また来ます」と言って帰られたのに。
きっと満足されているはず。
本当の理由はなに?
「そうか、治ったからもう来ないんだ。」と、この状況を受け止める。
ポジティブな考え方ですね。果たして、そうでしょうか?
治療院に来られるひとの多くは、頼れる治療院を探しておられます。
そこで悩みが解消したら、今度もここに来れば安心。
できれば子供たち、できればご両親を連れて来たい、と思っておられることが多いものです。
不調が治れば、より快適な健康レベルに向かうことを期待為れる方もおられます。
「だってなおっちゃうんですもん。」
それはリピートがえられないことへのじぶんへの言い分けになっていませんか?
そう問い直してみると、いろいろな要素が旨に浮かんできます。
施術を始める前に、状態を確認していなかった。
まだなにか話したそうにされていたのに、施術ベッドに案内していた。
トイレを使われたあと、気づいたら掃除ができていなかった!
というところまで、顧客は治療院の判断されています。
まだまだあります。
なぜ、その不調がおきたのか、わからないまま施術を始めていた。
どのように施術を進めるか、ちゃんと説明していなかった。
一連の施術を終えてから、結果を確認していなかった・・・・
つぎにいつ来られれば、より良い状態に導けるか、伝えていなかった。
思い浮かんでくるのは、気づいていれば出来たことばかり。
帰って来たあの方
ずっと続けて来院されていた方が、転勤で3時間がかかる他県に引っ越しをされたとき
転勤先の近くの治療院を紹介することがあります。
技は間違いない、しっかりした治療家を紹介しています。
それでも、合わないことがあり、帰省されるときや、出張で近くに来られるときに
再び当院に予約してこられる方がおられます。
あるとき、こんな会話がありました。
「ご紹介した治療院ではいかがですか?」
「それがね、腕は良いかたなんですが、、、。」
と、これはよく耳にする言葉です。
「施術のまえに、なにをどうするか、はっきりした説明がないんです。」
「聞いてもらいたいことがあったのに、言えないままで終わってしまいました。」
「予約した時間に行くんですけど、長くかかりすぎて後の予定にひびくんです。」
「顔に当たるところに引いたタオルに前の人の髪が残っていて、、、」
なにか技術以外の理由で続かずに、ここに戻って来られたようです。
うちに戻られるかたは、ごく一部。ほとんどの場合は他にいかれますよね。
帰られてからが大切
来られた方が、また来たいと思って帰られるには
様々な要素がつながってきます。
そのなかで、一番基本になる事は
施術を始めるまえには、相手の状態を把握する必要があるように
施術を終えてからは、結果を確認する必要がある、ということ。
そして、この時にもう一つ、心に留めておくべきことがあります。
プロセスが滞りなく進み、望ましい結果を得られたその時に
治療師が心に留めて、顧客にも伝えておくべき重要なことです。
それは、まず施術者が施術直後の効果を額面通りうけ止めて
100%これが結果だと思わないこと。
そして、顧客にもそれを伝えることが肝心です。
人は生き物ですから、働きかけるとそれに応える反応をします。
良くなるように技術を用いて働きかけると
身体は本来の健康な状態に戻ろうとすます。
よほど悪化した状態で無い限り、治療のシステムを適切に用いれば
自ずと改善結果があらわれるように出来ています。
けれど、人は生き物ですから、その状態を保てず
また治療前の状態に戻ろうとするくせが残っているものです。
そのため、治療の後しばらく日が経てば、、、、
「あのときはよかったけど、治ってないな。」と思われてしまいます。
そして、ほかのどこかを求めて行かれます。
治療後の快適な状態を保てるようになるには
身体がそれを覚えて、良い状態を受け入れるように
繰り返し施術の機会を重ねる必要があるります。
このことをを伝えておかないと「やっぱりだめだったな」と思われて
予約をキャンセルされることもああれば、黙って去っておかれる方もおられます。
施術のあとは、特に2,3日は
ご自身の身体や心のコンディションに気持ちを向けて
良い感じも、嫌な感じも、気づこうと意識するようにしていただきたい。
次回来るときの状態が本当の治療効果だから。
直後の状態が、治療の結果だと勘違いしないように。
それを心に留めて、良くなっていく経過を共にみていきましょう。
この道は続く
治療師は、頼って来られる方々と共に健やかな人生を歩んでいける、幸せな仕事です。
秀れた技を身につけながら、顧客との絆を結ぶ術を持たず
この道を離れて行かれる姿を見るのは、育成に携わる私たちにとっても残念なことです。
せっかく技をみがいても、活かせずに消えていく
そうならないように、技術のみではなく
気づきさえすれば、出来る事はたくさんあります。
観て、聴いて、触れて、推しはかって、施術を通して
私たち治療師には、気づける機会もたくさんあります。
気づいては、やってみる。
やってみて、結果を受け止める。
そしてまた、気づいては、やってみる。
その繰り返しが、私たちを育ててくれます。
顧客とともに歩む、この道は続きます。