飛び込みのクライアント

治療院まるごと研修で倉津の指導で学ぶ院長とスタッフ

当院は予約制で運営しています。
開業以来このスタイルで、定期的に通ってこられる方が80%。
不調の解消がきっかけになって来院され
そのまま継続される方がほとんどで、そのような方々を
より高い健康レベルに向かうよう導いています。
そんな治療院の日々に、時折、ちょっとしたハプニングがあります。
これは、そのある日、ある朝のお話しです。

飛び込みのクライアント

ある土曜日、治療院での朝、いきなりの電話のベル。
「今日、お昼空いてますか?」
名前を名乗る前に要件を言う。

ずいぶん慌てているな。
「空いてる時間はありますけど・・・どなた?」
毎月1回メンテナンスに来られている女性、首が動かないらしい。
寝違いかなと予想したが、そうでは無いらしい。
動かないんです,とは言うものの、痛みのことを尋ねてもはっきり言われない。
とりあえず、午後から来てもらうことにした。

四診から始まる

来院時入って来られるのを見ると、顔を前に突き出したような姿勢。
治療用ガウンに着替えてもらって、症状の経過を聞く。

三日前の起床時、起きるときに首に痛みを感じ、時間の経過と共にひどくなってきた。
仕事に行ってもパソコンの作業をするのも辛く、途中で早退した。
市販の鎮痛剤を飲んでも効果が無く、次の来院予定まで待てず急遽来院した、と言う。

まず、彼女の状態を目視で観察。
正面から見ると顔を前に突き出しているせいか、首が見えない。
頭を右、左に動かしてもらうと左を向いたときに右の首が突っ張るようで動きづらい。
上下に動かしてもらうと意外と上は向くことができる。下を向くのが辛い。

なんだ、割と動くじゃないと思いながら、首を触診していくと
右下顎角から胸鎖乳突筋にかけて張ったような感じ。
しかし、筋肉が張った感じでは無く、皮膚のすぐ下が張っている感じ。

弁証から施術へのプロセス

これは、もしかすると「リンパ」?

ここまでで、手がかりをつかめた。ここで追加の問診。
「もしかして3日以前風邪を引いた覚えは?」と聞くと
保育所へ通っている娘さんが一週間前から風邪を引いて保育所を休んでたらしい。

「それだ!」治療方針を”寝違え”の処置から”感染症後のリンパ処置”へ変更。

右顎下リンパ、胸鎖乳突筋部、鎖骨窩の奥にある静脈角へ
ゆっくりリンパを誘導し流していった。
その後、胸鎖乳突筋と上部僧帽筋を筋膜リリースし、後頭下筋群もリリースする。

座らせて頭の位置と頭を左右に向けてもらうと痛みも抵抗もなくなっている。
上下も同様。すっかり痛みから解放されて嬉しそうな彼女一言

「先生、今日の治療はカイロとちゃうやろ」

「そりゃ〜、持っている技を惜しみなく引き出して
症状に併せて的を得られる技を使うのが治療家や」

それを聞いて彼女「やっぱり来て良かったわ」と、嬉しそうに帰って行った。
やはり治療家にとっては、クライアントが笑顔になって帰られるのが
何より嬉しい成果になります。

伴走・判歩できること

この方は次の予約は、いつも決まってこられる来週第3水曜日です。
今日来たからといって、その予約を延ばされることはありません。

急な不調を緩和することと、日常の健康レベルを保ち、高めていくことは
違う視点でケアしているのをご存じだからです。

治療師は、人の健康の基盤となっているバランスのとれた生理機能を保ち増進する
ファンダメンタル・トリートメントと言われる“本治法”と
顧客がつらいと感じられている、その時その部位の不調を解消する
ローカル&シンプトマティック・トリートメントと言われる“標治法”を
平行して行うことが大切です。

飛び込みで来られる場合は標治法を主に
継続して来られる方には本治法と標治法を併せて治療システムを運用しいきます。

顧客にはその仕組みと目的を、わかりやすく伝えて理解を深めていきましょう。
このように進めて行くことで、顧客の健康を基盤から支えることができ
治療家本来の役割を果たすことで、求められる治療院になっていきます。

 

 

 

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